2014年12月23日火曜日

今年もお世話になりました~。


我々の怒涛の作品展三連続も終わり、最近はごく平和に教室が開かれています。

ある人は、一年掛けて修理していた提重が終わり、

また、ある人はオリジナル変り塗を研究したり、

籃胎漆器を始めたり…。

そして八代から4時間掛けて来ている方に加えて、

最近は、佐世保から、北九州からお越しになる方も増えたりして。

もちろん、市内からの方々も、忙しい中、時間を調整して来ていただいております。

皆様、此処へ来るのを本当に楽しみにしているのが、とても嬉しいです。

さらに、来年は充実した教室にしていきたいと思っています。

と、いうことも含め、来年から、システムを若干変更していきます。

簡単に言いますと、月謝制を辞め、チケット制に、

コースによって金額が違っていたのを、一律に、

そして、自宅での土曜開講の生徒募集を停止(いま来て頂いている方はそのまま)

します。

詳しくは、こちらを御覧ください。

http://urushinokyoushitsu.blogspot.jp/p/blog-page.html


さて、今年も残すところ、あと一週間となりました。

思えば、作品展が出来なかったのが心残りですが、

来年は、ぜひ頑張ってみたいと思います。

それでは、良いお年を~。





2014年11月15日土曜日

本日銀座での三人展終了しました。そして…。

 本日にて、のばな Art Work in Ginzaで行われていた三人展、無事終了しました。

お越しいただいた方、応援いただいた方も本当にありがとうございました。

 さて、今月19日(水)~25日(火)(9:30~20:30最終日は17:00閉場)は、丸善日本橋3階ギャラリーにて「京絞り寺田展」が行われます。


 京都の絞り染めのオヤカタ・寺田氏の、洗練された作品はもちろんのこと、 染色や伝統文化など、いろいろなことに通じていて、ほんとうに気さくで楽しいお話しを聞かせてくださいます。

 期間中は、着物編集者、相澤慶子様とのトークショウ(11月22日16-17時)があるということですよ。


 そして、きもの美の伝道師・木耶ラ先生は、日常的にきものを楽しんでもらえるよう、簡単な着付け方を独自に編み出された、和装イノベーターです。 

 もちろん、今回もデモンストレーション(11月20日、23日、24日それぞれ16時から30分程度)があります。
 
私も見たことがありますが舞のように着付けされるので必見ですよ。

 そして、このお二人とのご縁で、我々の創作帯留めも置かせてもらっています。

そのうちの幾つかをアップします。乞うご期待!!

もみじ…乾漆に変わり塗り、蒔絵です。

光琳梅…これも乾漆に変わり塗り、蒔絵です。


風紋…創作木地に変わり塗り、渋いです。

朱雀…創作木地に変わり塗り

白彩…創作木地に変わり塗り、蒔絵


2014年11月5日水曜日

展示会のお知らせ






阿部哲也臼木英之・工房ぬり松、による三人展が

*11月10日(月)~15日(土)

 のばなArt Work(東京・銀座)にて

行われます。

  

 お時間の方は、

12:00~19:00まで(最終日のみ17:00まで)となっています。

日本画家 阿部哲也氏のミクストメディアアート。

アーティスト 臼木英之氏の多彩なアート作品。

そして、われわれ工房ぬり松、のスペシャルな塗りによる漆器の数々。

ぜひ、ご高覧ください。

作品はこんなかんじです↓








2014年9月4日木曜日

2014年 10月、11月そして12月の開講日

今回は、天神教室からの一コマです。

表に蒔絵、裏に唐塗を施した櫛の制作です。





蒔絵筆を使って丁寧に描いているのは…。



「木賊(とくさ)と兎」と、「打ち出の小槌」の意匠です。
木賊は研草とも書き、サンドペーパー(紙やすり)のない時代、
この草を乾燥させたものを、開いて使っていました。
最近だと、観賞用に植えられているのを見かけます。

さて、「木賊と兎」は、夫木(ふぼく)和歌集にある源仲正の歌、

「木賊刈る 薗原山の木の間より みがきいでぬる 秋の夜の月」からきているようです。

源 仲正 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BA%90%E4%BB%B2%E6%94%BF


木賊は秋の季語、兎は月ということでしょうか。
この歌は、能の「木賊」のなかでも謡われています。

さらに調べると



「萩と兎」 (京漆の図案集 光村推古書院)


「兎と薄(すすき)」 ~赤楽兎文香合 伝 本阿弥光悦 
(琳派 出光美術館)

など、秋にまつわる草と兎の意匠はけっこうあるのですね。
勉強になりました。

ところで、櫛の裏はこんなかんじです。






さて、来月の開講日ですが…

来る11月に、工房ぬり松、の作品展があるため、
開講スケジュールを下記のように変更します。

<金曜日:天神教室> ・・・9:30~12:00
 10月 3・10・17・24日
11月 21・28日
12月 5・12・19日
   

<土曜日:姪浜教室>・・・9:30~12:00
  10月 11日・25日
11月 お休み
12月 13日
    

上記の日時に講習希望の場合は
ご予約をお願いしていますが、
ご希望に沿えない場合がございます。


何卒ご了承ください。

2014年8月25日月曜日

来月9月の開講日

今回は、姪浜教室からの一コマです。

虫食い塗りのお椀制作です。

漆に卵白を混ぜたものを「絞漆(しぼうるし)」と言います。



これは、漆でデコボコを作るときに使います。

お椀に細かくデコボコが作られているのがおわかりでしょうか。

固まった後(一週間くらい)、金属粉(錫消し粉)を蒔きます。



本日はここまで。

続きは、乞うご期待!!

さて、来月の開講日です。

<金曜日:天神教室>
 9月 5・19・26日
    ・・・9:30~12:00

<土曜日:姪浜教室>
  9月 27日
    ・・・9:30~12:00

上記以外の日時に講習希望の場合は
ご予約をお願いしていますが、
ご希望に沿えない場合がございます。
何卒ご了承ください。

2014年7月23日水曜日

2014年 8月の開講日



教室で、讃岐彫のお盆のお直しをしている方が、マコモ粉を蒔いています。

私、てっきりマコモ粉とは真菰という植物を焼いて粉にしたものかと思っていましたが違うんですね。

日本では、マコモダケから採取した黒穂菌の胞子をマコモズミと呼び、お歯黒眉墨漆器の顔料などに用いられてきた。」Wikipediaより

つまりはマコモダケの中に寄生する黒い菌なのですよ。

お歯黒にも使われていたなんてびっくりです。

しかもマコモダケは食用で、ヤングコーンみたいな味で美味しいらしいんですよ。

それで、もっと調べてみると、真菰は三重県三重郡菰野町や石川県河北郡津幡町が特産だそうで、下記のサイトで詳しく絵入りで紹介しています。

http://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/vegitable/makomodake.htm

さて、来月の開講日です。
お盆があるので、1・2・4週の変則開講になります。

<金曜日:天神教室>
 8月 1・8・22日
    ・・・9:30~12:00

<土曜日:姪浜教室>
  8月 2・9・23日
    ・・・9:30~12:00

上記以外の日時に講習希望の場合は
ご予約をお願いしていますが、
ご希望に沿えない場合がございます。
何卒ご了承ください。


2014年5月26日月曜日

2014年  7月の開講日
























7月の行事と言えば「七夕」ですね。
 (有名な仙台七夕のように、旧暦で8月に行う地域もありますが)

七夕は、中国の『乞巧奠(きっこうでん)』という、
針仕事などの技術上達を祈る行事が原型だそうです。

  「乞」=お願いする
  
  「巧」=巧み。技
  
  「奠」=祀る


それが中国の唐で『牛郎織女(ぎゅうろうしょくじょ)』の民話と混ざり、
陰陽五行説にそって陽数(吉数)の“7”が重なる
旧暦7月7日に行われるようになると
“七夕”と呼ぶ星祭りに変化します。

七夕が、奈良時代の日本に伝わったとき、
『牛郎織女』の説話は、日本で『棚機津女(たなばたつめ)
と言っていたため、
“七夕”に、“タナバタ”の、訓みをつけました。

笹に結ぶ短冊には「漆芸上達」と書いておくと、
よいことが有るかもしれませんね(・ω<)



ところで、

小郡市の七夕神社には、棚機姫社神(たなばたひめこそ神)が祀られています。
姫社神は、新羅から来日し、福岡県糸島市の姫島や、大分の姫島を通って
大阪の比売許曽神社に鎮座した“阿加流比売神(あかるひめ)”だといわれています。


さらに、
『日本書紀』の応神天皇記に、
阿知使主(あちのおみ)親子が呉の国へ行き、
  兄媛(えひめ)
  弟媛(おとひめ)
  呉織(くれはとり)
  穴織(あなはとり)
の、四人の織縫工を連れてきたことが記されています。
“棚機”は機織のことです。

阿知使主ら一行が筑紫に到着すると、宗像氏が工女を求めたので、
兄媛を残して難波へ向かったとあります。

兄媛は宗像の地で、中国の高度な染色・機織り・裁縫の技術を広めたそうで、
現在は、 福岡県福津市奴山の縫殿神社に祀られています。



ちなみに穴織は、大阪府池田市綾羽の伊居太神社(いけだじんじゃ)に祀られており、
当社の由緒書によれば、
・・・ここに穴織、呉織の機殿、縫殿を建て、全国の婦女子を集めて技術を教育し・・・
とあります。

先日、世界遺産暫定リストに登録されて話題になった富岡製糸場では、
フランスの技術者が日本人に製糸技術を指導し、
そこで学んだ人たちが全国で技術指導にあたったそうですね。
似たようなことが、古墳時代の倭国でも行われていたようです。



また、田川郡香春町には“呉媛の墓”というものがあります。

















なんと、
・・・この地で弟媛・呉織・穴織の三人が住、み服織をしていたが、
     一人はこの地にとどまり、あとの二人は畿内に行った・・・
という言い伝えがあるのだそうです。


















呉織は香春に残ったのでしょうか?
謎です。
ただ、香春には新羅の製銅技術者がたくさん住んで、
香春岳で銅を採取・精錬していたそうです。

奈良の大仏様を作るとき、香春の銅が使われましたし、
宇佐神宮の放生会で用いる銅鏡は、ここ香春で鋳造されていました。
呉媛の墓がある場所は、鏡山という地名だそうです。



四人の織縫工を連れに呉へ行ったのは、応神天皇の治世でした。
応神天皇のお母さんは“神功皇后”こと、息長帯比売(おきながたらしひめ)です。

息長氏の先祖は、天日槍(あめのひぼこ)で、
アカルヒメを追いかけて来日した新羅の王子です。

阿知使主も東漢氏の祖先で渡来人です。
古代は、我々の想像以上にグローバルだったようです。
現代、日本のエンジニアがハイテク技術を新興国に伝えているのと一緒ですね。
漆芸も、こういった技術者集団の行き来の中で伝え・伝えられたのでしょう。





さて、来月の開講日です

<金曜日:天神教室>
7月 4・18・25日
    ・・・9:30~12:00

<土曜日:姪浜教室>
7月 5・19・26日
    ・・・9:30~12:00

上記以外の日時に講習希望の場合は
ご予約をお願いしていますが、
ご希望に沿えない場合がございます。
何卒ご了承ください。

2014年4月25日金曜日

『漆の話』講演会のお知らせ

漆のネット通販でおなじみ、
福井県の漆屋さん「箕輪漆行」専務
箕輪圭二氏による講演です。

日時)5月18日(日)14:00~16:00
         (受付13:40~)

場所)アクロス福岡 セミナー室2

申込)不要

貴重な機会ですので、ぜひお出かけ下さい。

主催は金継工芸会さんです。
お問い合せはこちらへ。
092-732-6632(金継工芸会本部)

2014年  6月の開講日

今月から、教室に神職の方がお見えです。

カブれ除け祈願・・・
ではありませんぞ。

祭祀のときに手に持つ「笏(シャク)」に
すり漆をするためです。

思いもよらぬニーズがあるものです。
神事の持ち物ですから、天然漆がふさわしいですね。



笏って何だろう? という方へ、
『松尾大社の神像』という本に、
わかりやすい図がありました。
奈良~平安時代の正装だそうです。





儀式のときに威儀を正すため持つ板で、
象牙や木でできているのだそうです。



『淮南子』という書物には、
周の武王が剣のかわりに笏を持つよう定めた
と記されており、笏は中国発祥なのですが、
いつから日本で用いられたか、はっきりしないそうです。

聖徳太子の頃ではないか?
と考えられているようです。

↓東京国立博物館『法隆寺宝物館』 より





















聖徳太子と言えば・・・
福岡市美術館で、『法隆寺展』開催中です。

法隆寺には、漆芸の銘品が多く伝わっていますが、
今回の展示は仏像、仏画が中心でした。

仏像好きの方はどうぞ。
6月1日までです。



さて、来月の開講日です

<金曜日:天神教室>
6月 6・20・27日
    ・・・9:30~12:00

<土曜日:姪浜教室>
6月 7・21・28日
    ・・・9:30~12:00
上記以外の日時に講習希望の場合は
ご予約をお願いしていますが、
ご希望に沿えない場合がございます。
何卒ご了承ください。

2014年3月27日木曜日

2014年  5月の開講日

福岡はすっかり春。
いつお花見に行こうか?という気分です。

え~、先週、「ぬり松、漆の教室」講師陣は、
研修のため輪島へ行ってまいりました。
















能登半島はまだ冬!
日本海で~す。











 















「四十沢木材工芸」
輪島市の木地屋さん。
なんでも木で作っちゃう、すごい技術です。



 















輪島屋善仁「塗師の家」

輪島塗と言うと、出来上がった漆器を運んで行商する姿を
想像していました。

江戸~明治時代の輪島には、
漆器のプロデューサーのような人たちがいて、
各地の顧客に魅力的な提案を行って仕事を掴み、
輪島に戻って職人さんの製作を指揮したのだそうです。
そして、そのような人達のことを“塗師屋”と呼んだとか。

塗師は顧客である豪商や豪農の奥座敷に通されるため、
そういう場で恥をかかないように
お茶、俳句、その他の芸事をひととおり修得し、
文化人としての教養を身につけたのだそうです。

「塗師の家」は廃屋になっていた塗師屋の建物を
昭和62年に復興したものだそうです。
柱や梁には漆が塗られ、釘隠し一つとっても見事な意匠。
広く見えるように錯覚を利用した工夫などあり、
説明を聴いて関心しきり。
塗師文化の深淵を垣間見ることができました。感謝。

「塗師の家」は、事前に相談すれば見学させて
いただけるようです。
善仁さんの漆器ギャラリーも素晴らしいですよ~!
輪島屋善仁HP
















  



「塗太郎」(田谷小路)
沈金体験。約1時間程度、沈金師さんから指導を受けました。
先生がすごく楽しい方で、別の意味でもウケました。

こちらの工房では、上塗師の作業も見学させていただきました。
速い!分厚い!無駄がない!
You Tubeに、塗太郎さんがアップした動画がありますが、
生で見ると感動します。

上塗師は、選ばれし者のみが許されるポストなのだそうです。
条件は「喋らない」「(酒を)飲まない」「遅刻しない」
「メガネもダメ」だそうで。
う~ん・・・厳しい!!
塗太郎HP




















「お宿たなか」
館内の床や柱が漆塗りです。
素足で歩くと、とっても気持ちいい~。
そして、漆器で供されるお食事。
至高のメニューでした。
お宿たなか HP


































飯林山 福正寺
浄土真宗のお寺ですが、事前に相談すれば、
珠洲焼や合鹿椀などの銘品を見学できます。

合鹿椀は江戸~明治時代に作られた民衆のための漆器。
得も言われぬ迫力があります。
寺内には講や仏事で使う膳がしまってありました。
今でも80~90人もの人が一同に介して膳を囲むのだそうです。
福正寺HP



漆器の本場でエネルギーをもらい、
ますますレベルアップしてゆきまーす。

さて、来月の開講日です

<金曜日:天神教室>
5月 2・16・23日
    ・・・9:30~12:00

<土曜日:姪浜教室>
5月 10・17・24日
    ・・・9:30~12:00

※上記以外の日時に講習希望の方はご予約を。

2014年2月27日木曜日

2014年  4月の開講日





















福岡市天神の新天町にあるギャラリー風で、
興味深い展示をしています。

九州大学の藤枝守先生による
サウンドインスタレーション。

石川県の七尾で採取した珪藻土を使っているそうです。
珪藻土を入れた水槽にマイクを仕込んで、
珪藻土が発する小さな音を聴くというもので、

ポコポコ  ぷくぷく・・・と
珪藻土の内緒話を聞いているような
不思議な感覚でしたヨ(゚∀゚)

展示は3/2まで行われています。























珪藻土とは?

植物プランクトンの一種の珪藻(ケイソウ)は、
湖沼や湾内など、流れがゆるやかな水中に発生します。

有明海で養殖される海苔の色落ちの原因で、
ときどき発生してニュースになる赤潮、
あれも珪藻なのだそうです。

珪藻が死んで沈殿し微生物に分解されると、
ガラス質の殻だけが残ります。

長い年月のうちに、珪藻の化石が主成分の岩石が出来、
それを「珪藻土」と言います。


珪藻土は、壁土や七輪の原料として知られています。
表面に小さな穴がたくさんあいており、
炭のように空気を浄化する性質もあるのだとか。
最近は、消臭剤の原料に使われているものも見かけます。

全国に分布しますが、北海道、石川県、
岡山県、大分県、鹿児島県には鉱床があるそうです。

特に、石川県輪島市では、小蜂山の珪藻土を、
蒸し焼き・粉砕し、細かい粉末にしたものを漆に混ぜ、
輪島塗の代名詞である「下地」として使っています。

漆塗りの下地粉には、京都山科産の黄色っぽい
地の粉も使われますが、
輪島塗の“本堅地” 技法には、珪藻土でできた
輪島地の粉を用います。






















さて、来月の開講日です。

<金曜日:天神教室>
4月 4・11・18・25日
    ・・・9:30~12:00

<土曜日:姪浜教室>
4月 5・12・19・26日
    ・・・9:30~12:00
      13:00~16:00
 ※土曜日の午後は自習です。
  講習希望の方はご予約ください。


あたたかくなってきたところで、
懇親会を企画しております♪

3月中にご都合をうかがいますので、
よろしくお願いします(^o^)


2014年2月13日木曜日

2014年3月の開講日











画像:今治市HPより
http://www.city.imabari.ehime.jp/shoukou/sakurai/index.html


もう暦の上では春ですね。

春といえば「桜」ですが、
江戸期に始まり、明治~昭和初期まで隆盛を極めた
「桜井漆器」をご存知でしょうか?

今治市のホームページに詳しく掲載されておりますが、
以下、簡単に申し上げます。

愛媛県今治市の桜井地方は松山藩に属しておりましたが、
江戸時代後期から天領になりました。

すると桜井の年貢米は幕府の御用米として、
別子銅山や大阪へ運搬されるようになり、廻船業が発達します。

「春は唐津、秋は漆器」と言い、帰りの船に焼き物や
黒江漆器などを積んで商売しましたが、
そのうち利益が大きい漆器のみを商う「椀船行商」が登場します。

とうとう、地元で漆器製造を始め「桜井漆器」として売りだしたところ、
比較的安価だったことや、月賦(月割)販売の方法を導入したことから、
九州の農村でたいへん喜ばれ、昭和初期までおおいに隆盛したそうです。
今ではおなじみの分割払いが、桜井発だったとは。

桜井漆器の隆盛は、月原久四郎が、重箱の隅の接合部分をじょうぶに作る「櫛指法」を
考案したことも、後押ししたようです。
安いだけではなく、丈夫だったんですね。

福岡の骨董市で、それと思われるものを見かけることがあります。
現在、伊予桜井漆器会館というところで作っているようです。


かつて四国は漆芸が盛んな地で、産地がいくつか存在しました。

香川県では、象谷塗(ぞうこくぬり)、後藤塗、蒟醤(きんま)、存清(ぞんせい)、彫漆と、
多彩な技法が伝わっており、現在も漆芸研究所で後継者育成が図られています。

高知県には、明治時代に始まった土佐古代塗と称する塗り物をされている方が、
いらっしゃるようです。

徳島県には、「阿波半田塗」という塗り物があり、江戸中期から戦前の頃まで
盛んだったそうです。
多い時は300人もの職人さんがいたとか。
昭和45年に一度廃絶し、平成に入って竹内久雄さんが復活を試みたそうですが、
後継者のできぬまま竹内氏が他界し、とうとう途絶えてしまったようです。

昨年偶然にも

『宮本常一とあるいた昭和の日本23』
という本をジュンク堂で見つけ、
竹内久雄さんの記事を読み感銘を受けたばかりだったので、
昨年11月の訃報にふれ、たいへん心が痛みました。

漆の輸入が途絶えた時期に、自ら山へ入って漆掻きをした話や
進路に悩んでいるとき、叔父から説得され家業の漆芸を継ぐ決心をした話。
そこで初めて玉露を飲んだことなど、
竹内氏のエピソードを通して、
漆を支えてきた人々の息吹を
感じることができます。

激動の時代を乗り越え、
半田漆器に生涯を捧げた偉大な先人に心から敬意を表しつつ
ご冥福を祈りたいと思います。





さて、来月の開講日です。

<金曜日:天神教室>
3月 7・14・28日  
    ・・・9:30~12:00
※21日は祝日のため、お休みです。

<土曜日:姪浜教室>
3月 8・15・22・29日
    ・・・9:30~12:00
      13:00~16:00
※土曜日の午後は自習です。
  講習希望の方はご予約ください。

2014年1月21日火曜日

工房ぬり松、からのお知らせ






















みなさまこんにちは!

「ぬり松、漆の教室」の講師をつとめる
“工房ぬり松、”です。


2月4日(火)~16日(日)
福岡市中央区大名のギャラリーEnlaceにて
常設作家の四人展に参加。
定番から新作まで、展示販売いたします。
(カード利用可)

詳細情報)ギャラリーEnlace HP




池松一隆先生の彫刻や
川村愛さん、中津留友子さんの絵画なども
あわせてご賞翫くださいませ。

なお、ギャラリーには常駐しませんので、
技法などの解説を希望される方は、
事前にご連絡くだされば、馳せ参じます。

nurimatsu@gmail.com
092-834-4805
090-9409-3103
工房ぬり松、マツオイ

2014年 2月の開講日

















大寒というだけあって、寒さが身に沁みます
な~。
福岡では珍しく、雪が降っています。


今ではすっかりおなじみの「雪の結晶」です
が、日本で最初に研究したのは、江戸時代
のお殿様で、下総国(茨城県)古河藩主の
土井利位(どいとしつら)という人だそうです。

 茨城県ホームページに詳しく紹介されて
います。
(古河歴史博物館蔵の「雪華文蒔絵印籠」
の画像も見ることができます)

~以下抜粋~
利位は空から舞い降りる雪に魅せられ、
家老である
蘭学者・鷹見泉石とともに
観察を
続けていました。
 
その観察の仕方とは、雪が降りそうな寒い
夜、
あらかじめ黒い布を外にさらして冷却
しておき、
その布で受け止めた雪を黒い
漆器の中に入れて、
息がかからないように
注意しながら蘭鏡(顕微鏡)で
見る
という方法です。


なんと、漆器がこんなところで活躍していた
とは。

おぉこれは!
と思い、黒塗りの手板を手に外へ。
しかし、これがなかなか難しい。

ぼやぼやしているとすぐ溶けてしまいます。
ショボン(;_:)













雪が溶けないうちに一連の動作をこなすには、
かなりの手際が求められそうです。

二人の男が夜な夜なあらわれ、
息をひそめてキビキビと何かをしている。
鬼平に見張りを付けられそうですね。


そうして20年かけた研究結果が
『雪華図説』『続雪華図説』として出版され
ると、結晶図は人々をもトリコにし、町人
から武士まで幅広い層で雪華模様が流行。
利位は「雪の殿様」と呼ばれたそうです。


静嘉堂文庫に雪華をあしらった印籠を見つ
けました。

はぁ~っ、と、ため息の出る美しさ。
この結晶は、息がかかっても溶けません(^O^)

静嘉堂文庫ホームページ




雪華蒔絵印籠
羊遊骰子銘








さて、2月の開講日です。

<金曜日:天神教室>
2月7・14・21・28日  
    ・・・9:30~12:00

<土曜日:姪浜教室>
2月1・8・15・22日  
    ・・・9:30~12:00
  13:00~16:00
※土曜日の午後は自習です。
  講習希望の方はご予約ください。


では、みなさまお風邪など召されぬよう
あたたかくしてお過ごしください。















2014年1月10日金曜日

「今日感テレビ」放送時間のお知らせ

昨日、RKB毎日放送の収録が終わりました。















テキパキとディレクターさんの指示が飛ぶ中、
工房ぬり松、や教室の活動、
そして、漆器と漆文化のすばらしさについて披露。

今回は順が説明役だったのですが、
「漆がどうやって乾くのか?」という質問に

順   「酸化重合により硬化します」
RKB  「大学ではないので、もうちょっとわかりやすく・・・」

と、ツッコミが(汗)
そりゃそうだ。
サンカジュウゴウなんて、理系じゃないとわからない。
アドリブに弱い順はしどろもどろになりつつ、結局、

「お風呂に入った後のお風呂場にみたいなところで乾く」
ということで、OKが出ます。
わかりやすく説明するのは難しい。

しかし、いろんな人に興味を持っていただくには、
もっとわかりやすく説明できなきゃいかんな~!
と、実感しました。
















2時間にわたる収録でしたが、
編集されて2~3分ぐらいになるのでしょうか?

放送は
1月15日(水)の16:00~17:00
の間だそうです。



<追記>

寒い中、生徒代表としてご協力くださった、
Yさん、Jさん、
ありがとうございました。

塗りも研ぎもサクサクとこなされる勇姿はお見事!

放送が楽しみです。















沈金体験役でかけつけてくれた香月さん、ありがとう。
すばらしい作品! そして、プレゼン能力!







さすが若者、
斬新なデザインです。